BOB DYLAN / AT BUDOKAN 1978 【2CD】 [STCD-037/038]

BOB DYLAN / AT BUDOKAN 1978 【2CD】 [STCD-037/038]

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商品詳細

ボブ・ディランはフォークの神様の異名を持つ。しかし実際に純粋なフォーク・アルバムはデビューから3枚のみで、それ以降の膨大な数のディスクグラフィーはバンド・サウンドでレコーディングされている。これは当初のイメージがいかに後まで影響するかの好例であろう。実際に、1978年来日直後の記者会見で日本側記者から「フォークの神様と呼ばれているが、そこのとについてはどう思っているか?」という質問があがったが、70年代後半にしてもこのように言われるというのは、ディランとしても心外だったのではないだろうか。 その後フォークロックなどという言葉も作られたが、ディランといえばフォーク、というのは単なるイメージであって事実とは異なる。実際に1978年の来日公演もバンドを含め総勢60名ものスタッフを従えて来日している。

もちろんディランの原点がフォークから始まったことは揺るぎない事実である。しかし、一部のファンからは裏切りととられたバンド・サウンドにスタイルは変化しても、いわゆるロックンロールとは一線を画すディランならではのスタイルは、そのようなカテゴリー化の範疇にとどまらない独自のものであるといえる。 それを端的に示すのがディランのコンサートの音響の担当者の日本側への事前の指示である。「ボブ・ディランのコンサートはロック・コンサートではない。あくまでボブのボーカルがメインだから、ボーカルをきちんと聴かせるシステムでなければ駄目だ。間に合わなければ、ショーはキャンセルする」。このような言葉が残されている。つまりディラン側にとってはロック・コンサートではない、かといってフォークでもない。ディランのヴォーカルを聴かせるためのコンサートであるという認識があったことを示唆している。

半世紀に渡る長いキャリアを持つディランにとって全盛期というものは存在しないが、それでも1970年代のディランは、キャリアのピークのひとつともいうべき作品群を次々とリリースしている。全米ナンバー1を記録したザ・バンドとのレコーディング『プラネット・ウェイブス』、そしてライヴ盤『偉大なる復活』など、精力的に活動し、かつ評価が伴った時代であった。そして1975年には名盤『ブロンド・オン・ブロンド』を発表、伝説的なローリング・サンダー・レビューを行ない、1976年には『欲望』をリリース。ツアーの評判とあいまって、このアルバムは自身最高のセールスを記録する。

60年代に既に時代の代弁者として神格化されていたディランは、70年代でその評価を確かなものにしつつあった。そんな時期に渇望されていたのが日本公演であった。日本でもディランの人気は高まっており、ガロは『学生街の喫茶店』で「学生で賑やかなこの店の片隅で聴いていたボブディラン♪」と歌い、まるでボブ・ディランのスタイルを真似たような吉田拓郎は『親切』で「またボブディランの話かい♪」と歌ったくらいである。さらに現代の視点では既に伝説となったバンドの数々が70年代から次々に来日公演を行なっており、巨大化した日本市場を無視できなくなったアーティスト側がこぞって来日、しかも武道館という大ホールで次々にコンサートを行っていた時代である。そんな中でディランはまだ一度も来日を果たしていなかった稀有な大物のひとりであった。そんな折、ディランが実に12年ぶりのワールド・ツアーを行なうことが発表になったのである。しかも日本がそのワールドツアーの最初の地として選ばれたのである。

ディランというビッグネームが初来日公演を行なう。当時の熱狂はものすごく、空港に降り立った瞬間からディランをマスコミが追いかける事態となった。本人及びバンドクルー達は12年ぶりのワールドツアーの肩慣らしのつもりで日本を選んだのかもしれなかったが、日本のファンにとっては待望の来日公演である。その本数は武道館8公演、大阪松下電器体育館3公演と、11公演に渡る当時としては破格な本数で、いかに日本で集客力が期待されていたかが伺える。特に武道館8公演などとは当時前例のない規模であり、後に『AT BUDOKAN』という日本のみでのライヴ盤としてリリースされていることからも、このディランの初来日公演がいかに歴史的なものであったかが伺える。

そして本作である。1978年ディラン来日公演は、武道館3回、大阪3回、そして再び武道館5回と、間で大阪公演を挟んで行なわれた。本作はその最終日から数えて2番目、全11公演中の10回目の公演にあたる1978年3月3日武道館でのコンサートを収録している。その後何度も来日公演を行なっているディランであるが、武道館が使用されたのはこの年と次の来日1986年の2年のみで、それ以降は意図的には小さな会場が選ばれている。つまりディランが武道館でコンサートを行なった数少ない貴重な記録である。

音質はおそらくこのツアーでのオーディエンス録音の中では最高のものであろう。実際にサンプル音源で聴いていただければわかる通り、当時としては考えられないくらい高音質で収録されている。ヴォーカルが非常に近距離で、まるでサウンドボード音源を聴いているような錯覚に陥る。しかもヴォーカルが近くでありながら奥行きを感じるレンジの広い帯域をカバーしており、高音から低音までバランス良く収録されている。また周囲にうるさい観客もおらず、現代の耳で聞いても最高の音質と言えるだろう。欠点といえばオープニングでヴォーカル抜きで演奏された「A Hard Rain's A-Gonna Fall」、そして「The Man In Me」「All Along The Watchtower」の3曲の頭がわずかに欠落しておりフェードインになっていることくらいである。しかしその欠落も大きなものではなく、むしろ社会的にも話題となった初来日公演の武道館公演の、このハイクオリティな高音質録音は、そのような欠落も意味をなさないくらい圧倒的なものである。

ボブ・ディラン初来日公演より、1978年3月3日武道館公演を、おそらくツアー最高であろう高音質で収録。美しいピクチャー・ディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。


BUDOKAN HALL TOKYO JAPAN March 3, 1978
DISC ONE
01. A Hard Rain's A-Gonna Fall
02. Love Her With A Feeling
03. Mr. Tambourine Man
04. I Threw It All Away
05. Shelter From The Storm
06. Love Minus Zero / No Limit
07. Girl Of The North Country
08. Ballad Of A Thin Man
09. Maggie's Farm
10. The Man In Me
11. Like A Rolling Stone
12. I Shall Be Released
13. Going, Going, Gone

DISC TWO
01. One Of Us Must Know (Sooner Or Later)
02. You're A Big Girl Now
03. One More Cup Of Coffee (Valley Below)
04. Blowin' In The Wind
05. I Want You
06. Knockin' On Heaven's Door
07. Oh, Sister
08. Just Like A Woman
09. I Don't Believe You (She Acts Like We Never Have Met)
10. All Along The Watchtower
11. Tomorrow Is A Long Time
12. band Introduction
13. It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)
14. Forever Young
15. The Times They Are A-Changin'