David Bowie-LIVE LOW 2002 【2CD】 [DEN-056/057]

David Bowie-LIVE LOW 2002 【2CD】 [DEN-056/057]

販売価格: 4,500円(税込)

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商品詳細

■ボウイネット会員限定のスペシャルライヴ!
■驚きのアルバム『LOW』と『HEATHEN』を完全再現!

音楽プロデューサーのトニー・ヴィスコンティは、ビートルズ・ファンにはメリー・ホプキンと結婚し、メリーと離婚後にメイ・パンと再婚した男として知られている。元々は自らパフォーマンスするミュージシャンであったが、彼の音楽的才能は自分でプレイするよりもプロデュース業に向いていたようだ。それが証拠に彼は活動の軸足を60年代末期からTレックスやボウイなどのプロデュース業に移している。特にボウイとは長い間重要なパートナーとなっており、特に『LOW』と『HEROES』のプロデュースをトニー・ヴィスコンティが手掛けたことは彼の代表的な作品であると同時に、名声を確実にした仕事と言える。ボウイとのコラボレーションは1980年の『スケアリー・モンスターズ』以降途絶えていたが、2002年発表の『ヒーザン』で、22年ぶりに再びプロデュースに起用されたことがファンの間で話題となった。

ボウイは次なるアルバムのプロデューサーとして、かつて名盤を共に制作したトニー・ヴィスコンティに白羽の矢を立てた。何か心に期すものがあったのだろう、心機一転のために、『スペース・オディティ』から70年代の作品の多くをプロデュースしてもらっていたトニー・ヴィスコンティに、再度アルバムのプロデュースを依頼したのである。二人はまず手始めに、離れていた時間を埋め、かつての感触を取り戻すかのように、ボウイが60年代に発表した過去の曲のセルフ・カバーをレコーディングする。この時に録音されたセルフ・カバーにいくつかの新曲を加え、アルバム『TOY』が完成する。ボウイはこのアルバム『TOY』のリリースを切望するが、古い楽曲がメインであったこと、セールスが期待出来ないなどの理由で、レコード会社からOKが出なかった。結局現在に至るまで未発表となっている。ちなみにこの『TOY』は今では全曲が流出しており、未発表アルバムとしてマニアの間では人気が高い。

自信を持って意欲的に制作した『TOY』がリリースを断られたことで、ボウイは非常にショックを受ける。そこで今度は、トニー・ヴィスコンティとのコラボはそのまま継続し、完全オリジナルのフル・アルバムの制作に着手することになる。また『TOY』の発売不可を受けたことに不満を感じ、自由に創作活動が出来るようにと自身のレーベル「ISO」を設立、次のアルバムは、この新レーベルの第一弾としてリリースされることとなった。結果論とはいえ、ボウイとトニー・ヴィスコンティのコラボは、その新レーベルの門出に相応しいものであったと言える。このように紆余曲折を経て完成したアルバム『ヒーザン』がリリースされたのは2002年6月のことであった。『ヒーザン』とは異教徒を意味し、「明日の見えない時代を生きる」をアルバムのテーマとしている。この悲観的かつ厭世的なテーマは前年に起きたニューヨークの同時多発テロに触発されたとされるが、ボウイ本人は同時多発テロが起きた時点で既にレコーディングは済んでおり、その影響は否定している。

そして注目すべきは、アルバム『ヒーザン』が、明らかに『TOY』を下敷きに制作されている点である。『TOY』こそリリースを見送られてしまったが、その制作の過程で生まれた新曲「Uncle Floyd」はタイトルを「Slip Away」に変え、「Afraid」と共に『ヒーザン』に収録されている。それ以外でも全体を覆うアルバムの雰囲気は、70年代かつてのボウイを懐古的に想起するような楽曲が並ぶ。「カクタス」などは、まさにベルリン時代後期のボウイそのものであり、2004年最後のツアーにおいてもセットリストに組み込まれた新たなボウイ・クラシクスと言えるだろう。そしてこの『ヒーザン』のリリースに伴いツアーが始まったのである。ヒーザン・ツアーのこけら落としは2002年6月11日のニューヨークで行なわれ、わずか4か月で公演数にして36公演と、比較的小規模なものであった。本作はそのまさに初日、2002年6月11日ニューヨーク公演を収録している。

先に、ヒーザン・ツアーは2002年6月11日ニューヨークから始まったと述べたが、その次の公演が6月29日ロンドンから始まり、その後、欧州をまわるというもので、本作を便宜上ヒーザン・ツアーとして扱うが、その内容は実際のツアーと大きく異なる点を強調しておきたい。実際はこの日ニューヨークで単発で行なわれたコンサートというのが正しいかもしれない。というのも、今までのボウイにはなかった試みがなされている、まさに特別なコンサートだからである。

このコンサートはボウイネットという公式サイトの会員のみを集めたスペシャル・ステージである。時に大きな話題を呼んだ特別なセットリストは、ボウイの数多いステージの中でもファンの間でベストの呼び声高いもの。なんとコンサート前半がアルバム『LOW』を完全再現、アルバムの曲順のまま全曲を演奏するという、前代未聞の試みがなされているのである。個々の曲はかつてライヴでも演奏されたことがあったが、アルバムまるごとというのは今まで聞いたことがない。そして後半は、今度はアルバム『ヒーザン』を、これまたまるごと完全再現という、2枚のアルバムをそのままステージで演奏したのである。もちろんこれは通常のヒーザン・ツアーとは異なり、この日のための特別セットリストである。そして2枚のアルバムの再現を終えた後、アンコール4曲を加えている。このようなイレギュラーなセットリストは、本公演と、次のロンドンのメルトダウンフェスの2公演のみ。わずか2公演のみという実験的なステージの内のひとつが本作である。

なぜこのような特殊なセットリストを2公演のみで行なったのだろうか。ことニューヨークの関して言えば、アルバムのプロモーションという性質が強かったこと、そしてこのコンサートがボウイネット会員限定であったこと、つまり客席は熱心なボウイ・マニアのみであった。そして恐らく、このコンサートの様子は初日ということもあり全世界にニュースとして報道される前提で、あえて『LOW』と『HEATHEN』という2枚のアルバムを完全再現するという話題性を作ったのではないだろうか。そしてボウイが敢えてこの新旧2枚のアルバムを選んだのは、プロデューサーであるトニー・ヴィスコンティの新旧の仕事を対比させる目的があったことは間違いない。この対比から感じるものは人それぞれであろうが、自らの代表作を提示した後に続けて最新の作品を演奏する、この事実は、アルバム『ヒーザン』が『LOW』と比較されても遜色ない完成度を誇るというボウイの自信の表れであろう。

サンプル音源を聴いていただけるとわかる通り、録音は現在の耳で聴いてもかなりの高音質で、まるでサウンドボード録音のような錯覚を覚えるほどである。録音場所がステージにかなり近かったのであろう、まるで目の前でボウイが歌っているかのような近距離感がハンパなく、特に『LOW』パートの後半で顕著な重厚な楽器の音色が実にくっきりと鮮明に眼前に現れることに驚かされる。「Subterraneans」においてボウイが奏でるサックスの音色を聴くと、ほぼ足元真下で録音されたのではないかと思うくらいである。とにかく音質に関してはこれ以上望めないオーディエンス録音の最高峰であると言っても過言ではない。

アルバム『LOW』と『ヒーザン』の2枚の新旧アルバムを、収録曲順に全曲演奏するという、前代未聞のセットリストで行なわれた特別ステージを、最高峰のオーディエンス録音で完全収録したタイトルが本作である。このセットリストで披露されたのはわずか2公演のみと貴重なステージの内のひとつ。ボウイのファンにはけして欠くことのできないマスターピースである。美しいピクチャー・ディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。


ROSELAND BALLROOM NEW YORK, NY U.S.A. JUNE 11, 2002
DISC ONE
Low Album Complete
01. Introduction
02. Speed of Life
03. Breaking Glass
04. What In The World
05. Sound & Vision
06. Always Crashing In The Same Car
07. Be My Wife
08. A New Career In A New Town
09. Warszawa #1
10. Warszawa #2
11. Art Decade
12. Weeping Wall
13. Subterraneans

Heathen Album Complete
14. Sunday
15. Cactus
16. Slip Away
17. Slow Burn

DISC TWO
01. Afraid
02. I've Been Waiting For You
03. I Would Be Your Slave
04. I Took A Trip On A Gemini Spacecraft
05. 5.15 the Angels Have Gone
06. Everyone Says "Hi"
07. A Better Future
08. Heathen (The Rays)

ENCORE
09. Hallo Spaceboy
10. Ashes To Ashes
11. Fashion
12. I'm Afraid of Americans